■ 表面上は回復でも…倒産件数54件・負債58億円の背景
帝国データバンク新潟支店による「2025年上半期 倒産集計」によると、倒産件数は前年同期比14.3%減の54件、負債総額は約58億1,300万円と、5半期ぶりに減少に転じました。
一見ポジティブな数字ですが、安心できるとは言えません。理由は以下の通りです:
長引く内需低迷や構造的な人口減少により、地域経済基盤が弱体化
小規模事業者の経営努力だけでは維持困難な状態が続いている
数字の裏には、「たまたま倒産に至っていないだけ」の企業が多く存在しているのです。
■ 小売業が最多 “消える地元の顔”たち
業種別では小売業が18件で最多。前年同期比は+63.6%と急増し、全体の約3分の1を占めます。
これは主に、地域密着型店舗がEC化や消費マインドの低下に対応しきれず、価格競争に巻き込まれている現れです。
同様の構造的課題は、建設・製造・サービス業にも広がっており、人手不足や需要減少という慢性的な負荷がかかっています。
■ “不況型倒産”83%。販売不振=モデル崩壊の危機
倒産原因の83.3%は「販売不振」で、不況型倒産が多数を占めています。
つまり、これは単なる資金ショートではなく、「ビジネスモデルそのものが競争力を失っている」という構造的な問題です。
特に注目されたのは柏崎市の永井コンクリート工業(負債約19.3億円)。公共工事依存体質が市場変化に耐えられず、経営破綻へと至りました。
■ 全国視野で見ても「小規模・販売不振」が鮮明
全国では上半期に4,990件の倒産(前年同期比+1.1%)、負債総額は約6,902億円(−4.2%)でした。
特徴的なのは、倒産企業のうち小規模倒産(負債1億円未満)が77.2%と過去最高であること。
これは新潟だけでなく、日本全体が同様の危機にあることを示しています。
■ M&A/事業承継で“閉じる経営”から“つなぐ経営”へ
当協会では、新潟県内の中小企業に対し、以下のような支援を提案しています:
✔ 他県外や地元間でのマッチングによる後継者確保
✔ 異業種との連携を用いた“攻めの再編”
✔ 事業の価値を維持しつつ、新たな販路や人材を取り込む戦略的M&A
こうした手法は、「廃業という一度きりの結末ではなく、次につなぐ多様な未来」を選ぶための重要な手段です。
■ 今こそ“倒産しない未来”に向けて選択を
「今はまだ何とか回っている」
「後継者のことを考えると漠然と不安」
そんな中小企業や個人事業主が、本当に必要なのは早期の行動です:
✔ 自社の強みと弱みを見える化する
✔ 第三者承継やM&Aの可能性を検討する
✔ 機能が重複する事業を整理し、本当に利益を生むところへ集中する
この取り組みが、「倒産しない安心の経営」から「つなぐ未来の経営」へと舵を切る鍵になります。
無料のご相談はLINEでも受付しております。
参考資料
・帝国データバンク「2025年上半期 新潟県企業倒産集計」
https://www.tdb.co.jp/report/bankruptcy/aggregation/20250708-bankruptcyh12025/
・日本経済新聞「企業倒産、販売不振が8割」
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCC072LC0X00C25A7000000/
・中小企業白書2024年版(中小企業庁)
https://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/hakusyo/2024/PDF/chusho.html